便潜血陽性とは
便潜血検査は便に血液がついているかどうかを調べる検査です。
主には大腸がんのある人を見つけるために調べます。大腸がんは早期の小さいうちは腹痛や下血などの症状が出ることはほとんどありません。
そのため、早期に発見するために、まずは便潜血検査をおすすめします。
大腸がんは男女ともに罹患数や死亡数の順位が高く、40歳以上となると発症リスクが増加する傾向にあります。2020年に公開されたがんの統計では、2018年の女性のがん死亡数は大腸がんがもっとも多いといった結果が出ています。
大腸がんは年齢が増えるごとに増加しやすいがんですが、現代では、食生活の変化に伴って、若い人でも大腸がんを発症してしまうこともあります。過度な飲酒や脂肪の多い食事はその要因とされています。40歳以上の方、食生活を含む生活習慣が乱れていると感じている方は、1年に1回便潜血検査を受けることをおすすめします。
一方、統計によってばらつきはありますが、残念ながら、便潜血検査は40歳以上の30〜40%の受診にとどまり、陽性になっても約60%の方しか大腸カメラ(内視鏡)などの精密検査を受けられていないのが現状です。
便潜血の検査について
便潜血検査は自宅で簡単に行うことができます。検査方法は、1日ないし2日分の便を検査専用のスティックで採取しますが、最近は1日1回ずつ2日に分けて採取する「便潜血2日法」が主流で、検査提出日を含む3日以内の便で検査します。
洋式トイレでは採取しにくい、といった問題点は、トイレットペーパーを排便前に便器に厚めに敷いておく方法もあります。
なお、トイレの洗浄液に便が浸かると正確な判定ができなくなってしまいます。採取するときは便の表面をまんべんなくこするようにするのがポイントです。
便潜血陽性になった場合の病気や疾患
大腸の病気だけでなく、以下のようにさまざまな病気の可能性が疑われます。
- 大腸がん
- 潰瘍性大腸炎
- 痔 など
- 大腸ポリープ
- クローン病
便潜血検査の精密度
便潜血検査で陽性が出たからといって、必ずしもがんなどの重い病気であるとは限りません。
一方で、便潜血検査で陰性だったからといって、大腸がん・大腸ポリープが絶対にないとも言い切れません。
便潜血検査は、大腸がんなどの病気である可能性を高い方を選び出す検査ではありますが、そういった意味ではあまり精度の高い検査とは言えません。陽性が出たときには必ず精密検査を、陰性であったときも油断をせずに、できれば大腸内視鏡検査を定期的に受けることをおすすめします。
便潜血陽性が出た場合はどうすればいいの?
便潜血検査において陽性反応が出て精密検査で初めて大腸内視鏡検査を受けられた方のうち、大腸がんは4〜5%、大腸ポリープは30〜40%の割合で発見されています。
決して負担の少ない検査とはいえませんが、便潜血検査陽性の方は、大腸カメラなどの精密検査をおすすめします。
2回のうち、1回だけ陽性の場合は、どうしたら良いのでしょうか?といったご質問もよくあります。
便潜血検査は2回のうち1回でも陽性といった場合も大腸カメラなどをおすすめします。
がんは、常に出血しているわけではありません。ポリープ型のがんは便に血がつきやすいのですが、平坦ながんはつきにくい場合があります。1回目は陽性でも2回目が陰性だから大丈夫、とはいえません。
大腸カメラでがんの有無を調べることが大切です。
なお、大腸カメラで粘膜内がんと呼ばれるごく早期の段階のものを発見できたら、大腸カメラによる内視鏡治療で治癒できます。
こういったメリットもあるため、1回でも便潜血陽性であれば大腸カメラを受けましょう。